この短刀は本年の現代刀職展、研磨平造り部に於いて優秀賞一席を受賞致しました。
平造りの部は数年前に新設されましたが、現在まで特賞の受賞は無く本年も有りませんでしたので出品作品中では一位に成りました。
之定は二代兼定で定のウ冠の下が之と銘を切っていますので通称之定と言います。
兼元と並ぶ関伝の代表的刀工です。
之定の銘は一種独特の書体ですがこの短刀は比較的整った書体の二字銘が有ります。
器用な刀工で作風は相伝風や丁子刃の物等色々ですが、短刀には直刃の京物を写した物が多く之定の来写しと呼ばれています。
この御刀も来写しの一振りで出来の優れた作ですが来物より鉄が強い感じがします。
地鉄は地景入り地沸付き強い鍛えに成り、そこに乱れ映りが鮮やかに立っています。
刃文は匂出来の直刃で上方がややノタレて刃縁が良く冴えています。
研磨作業は地鉄の働きが多いので、それを十分に引き出したいのですがあまり出し過ぎると映りの方が見え難く成っていまいますので、その点を折衷すべく工夫して研磨しました。
御刀の特徴は良く引き出せたのではと感じています。






