2020年09月13日

研磨した刀剣の紹介(銘 一)

 研磨差せて頂いた御刀の紹介を致します。一文字の太刀です。
 太刀表に楷書に一の銘が有ります。
 一文字派は備前国に鎌倉中期ぐらいに起こった流派で福岡一文字、岩戸一文字、吉岡一文字等の派が有ります。
 
 令和二年度の現代刀職展に於いて協会会長賞を受賞致しました。

 生茎在銘で茎先を少し摘み、反りが高い太刀で、地鉄は総じて詰んで所々大肌交り地沸付き元に丁子映り中程からは乱れ映りが現れています。
 刃文は元の方は焼やや低く始まり蛙子丁子等交えて中程から焼高く重花丁子に成り物打ち辺から焼が低く成り切先に乱れ込みます。

 この太刀は研磨前は古研ぎで保存刀剣等の指定も受けていない状態でした。
 研磨は古く映りは見えましたが、地鉄は小肌がふさり大肌だけが目立ちました。
 研磨作業はハバキ元や物打ち刃先他所々錆が有りましたので、錆は備水砥で除去しました。
 物打ち辺は研磨し難い場所で錆が意外に深く取り去るのに難儀しました。
 下地研ぎを進めて、仕上げ研ぎでは小肌を綺麗に出して大肌が成るべく目立たない様に心掛けました。ただ、あまり肌を起こすと映りが見え難く成るのでその辺りの兼ね合いには気を使いました。
 刃取りは出入りの大きいので必然的に時間が掛かります。品良く丁子の雰囲気が出る様に刃取りしました。
 研磨は気を使い時間も掛かりますが締め切り厳守で中々大変でしたが、良い結果も頂く事が出来て良かったです。

 現代刀職展は両国の刀剣博物館で10月18日まで開催されています。

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2020年09月10日

研磨した刀剣の紹介(兼定 之定)

 研磨差せて頂いた御刀の紹介を致します。兼定(之定)の短刀です。

 この短刀は本年の現代刀職展、研磨平造り部に於いて優秀賞一席を受賞致しました。
 平造りの部は数年前に新設されましたが、現在まで特賞の受賞は無く本年も有りませんでしたので出品作品中では一位に成りました。

 之定は二代兼定で定のウ冠の下が之と銘を切っていますので通称之定と言います。
 兼元と並ぶ関伝の代表的刀工です。
 之定の銘は一種独特の書体ですがこの短刀は比較的整った書体の二字銘が有ります。
 器用な刀工で作風は相伝風や丁子刃の物等色々ですが、短刀には直刃の京物を写した物が多く之定の来写しと呼ばれています。

 この御刀も来写しの一振りで出来の優れた作ですが来物より鉄が強い感じがします。
 地鉄は地景入り地沸付き強い鍛えに成り、そこに乱れ映りが鮮やかに立っています。
 刃文は匂出来の直刃で上方がややノタレて刃縁が良く冴えています。

 研磨作業は地鉄の働きが多いので、それを十分に引き出したいのですがあまり出し過ぎると映りの方が見え難く成っていまいますので、その点を折衷すべく工夫して研磨しました。
 御刀の特徴は良く引き出せたのではと感じています。

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2020年08月15日

研磨した刀剣の紹介(肥前正廣)

 研磨差せて頂いた御刀の紹介を致します。
 肥前の正廣の刀です。
 正廣は忠吉家の一族で初代、二代が作刀が多いのですが家は明治まで10代続いています。
 受領銘が無いので初代、二代は私には現状判断出来ません。
 南蛮鉄を用いたとの裏銘が有ります。
 南蛮鉄はインドで製鉄された物が南蛮船に寄って輸入され貴重品で有ったので用いた場合添え銘を入れている事が有ります。
 全て南蛮鉄で作った訳では無く和鉄に混ぜて使用したと思われます。

 地鉄は肥前刀の特徴が出ている部分も有りますが南蛮鉄のせいか常より地景が目立ち地沸が付いた強い感じの肌に成っています。
 刃は沸出来でゆったりとしたノタレ刃で刃が冴えます。

 研磨は錆身でしたので荒砥からの作業に成りましたが地鉄の働き等良く出たのではと思います。

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研磨した刀剣の紹介(宇多国久)

 研磨差せて頂いた御刀の紹介を致します。
 国久と二字銘の有る短刀です。
 地刃の特徴から室町末宇多派の国久と思われます。
 重ね厚く先が内反りの鎧通し形状ですが、鎬を造り棟側に大きく削いで変化が有ります。
 宇多派は越中の刀工集団で南北朝期から室町期まで繁栄しました。

 地鉄は鉄色に黒みが有り地景入り地沸が良く付きます。
 刃は沸出来で粒が大きく光が強い沸が付き、切先辺りは掃き掛けて迫力が有り棟側にも焼が入ります。

 研磨作業は錆身でしたので荒砥からに成りましたが傷も無く地刃健全で綺麗に仕上がりました。

 
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2020年08月08日

現代刀職展(刀剣研磨コンクール)の結果通知来たる。

 本年の現代刀職展、研磨の部の結果通知が来ました。
 鎬造りの部が特賞協会会長賞、平造りの部が優秀賞でした。
 また、作品の画像など載せるつもりですが取り敢えず御報告致します。
 今後も精進して行きますので御支援宜しく御願いを致します。

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 現代刀職展の結果は日本美術刀剣保存協会ホームページに掲載されています。
 https://www.touken.or.jp/news/?itemid=194&dispmid=627
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2020年07月21日

研磨した刀剣の紹介(月山貞勝)

 研磨差せて頂いた御刀の紹介を致します。
 月山貞勝の刀です。寸法は2尺2寸程でやや短く刀銘ですが反り高く鎬幅広く古太刀を模して造られた感が有ります。
 裏銘に皇紀二千六百年記念と有ります。

 月山貞勝は初代貞一の子で皇室や伊勢神宮の御料刀を制作した戦前の刀工の第一人者です。
 戦後無形文化財保持者に成った高橋貞次、月山貞一刀匠始め門弟も多く育てました。
 
 地鉄の鍛えは綾杉肌に成ります。綾杉肌に地景が入り良く詰んで地沸付き精美で格調高い鍛えです。
 刃文は小互の目を連ねて刃縁に綾杉肌沿って働きが豊富です。

 研磨作業は、刃先が物でも切ったのかギザギザに成り刃コボレも有りましたので備水砥で直し作業を進めました。
 鍛えの綾杉肌は中々簡単には出ては来ないので時間を掛けて内曇地砥を引きました。

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2020年06月22日

研磨した刀剣の紹介(美濃千手院)

 研磨差せて頂いた御刀の紹介を致します。
 美濃千手院の太刀です。
 美濃千手院は赤坂千手院とも言い美濃国赤坂、現在の大垣市辺りで作刀をした鍛冶屋集団です。
 大和千手院重弘の子泉水が美濃赤坂に移住した始まった一派とされていますが、実質は国長と言う作者を初代として南北朝期から室町末まで長い期間栄えた一派です。
 赤坂は金生山と言う鉄鉱石を産出する場所が有り、また交通の便も良い場所ですので自然刀鍛冶が多く居住したと思われます。
 兼元にも赤坂住と銘を切ったものが有ります。兼元初代二代には関住と切った作が無いそうですので赤坂鍛冶出身か関から移住したのかは議論が有り知識の乏しい私が論じる事では無いので話を置いておきます。

 この御刀は無銘ですが2尺7寸近い太刀で反りが高く付きます。
 地鉄は粘りを感じる極細かい肌に地沸が付き所々大肌が現れ元の方に映りが立ち、刃文は互の目を主体にして互の目を連ねノタレ刃を交え刃縁は匂出来を主体にして沸付く箇所も有り刃中の働きが多い作品です。

 研磨は形崩れが無いので仕上げの直しを差せて頂きました。
 長寸で切先までしっかりと焼刃が有り良い作品と思います。

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2020年06月20日

研磨した刀剣の紹介(加州家平)

 研磨を差せて頂いた御刀の紹介を致します。
 加州家平の刀です。
 この御刀は擦り上げて茎元に折り返し銘が有った痕跡が有りますが現在は失われて無銘に成っています。
 家平の極めは古研ぎの段階でのものですが研磨してみると大阪新刀系の様にも見えますが、極め通り加州家平で御紹介を致します。

 家平は陀羅尼系統で江戸初期に加賀国で活動した鍛冶屋で後に国平と名前を改めています。二代目も居ます。

 この御刀は地鉄は板目が細かく詰み地沸良く付き、刃は沸出来の大互の目乱れを主体にして矢筈風や箱乱れを交えて焼高く華やかな作品です。

 刃文が複雑ですので刃取りが難しいのですが、上手く華やかさを見せる刃取りが出来たのではと思います。
 
 

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2020年04月02日

研磨した刀剣の紹介(大和守康道)

 研磨差せて頂いた御刀の紹介を差せて頂きます。
 大和守康道の脇差で寛文八年の年紀が有ります。

 大和守康道は赤坂千手院の系譜に連なる美濃の刀工です。
 尾張でも作刀しました。

 美濃伝には之定はじめ来写しの作品が度々見られますが、この御刀も来を意識して作刀された感じが有ります。
 地鉄は極詰み地沸が厚く付き大変綺麗です。
 刃文は小足が頻りに入り刃縁明るく冴えます。
 それ程作刀数は多くは無い刀工ですが技量は高いです。

 研磨作業は錆が有りましたので荒砥からの作業に成りました。
 地鉄が詰んでいますので地沸等の働きを出すのに内曇地砥、地艶を丁寧に行いました。

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2020年03月10日

研磨した刀剣の紹介(大和守吉道)

 研磨を差せて頂いた御刀の紹介を致します。
 大和守吉道の脇差です。
 

 京都の三品四兄弟の丹波守吉道の三男が大阪に分家して大阪丹波守家を創設しましたが、その次男が更に分家して大和守吉道家を創設し三代ほど続きました。中々繁盛した一派で作柄は焼高く複雑で華やかなものが多いです。
 この御刀は銘から二代目ではと思います。

 作柄は丹波守吉道の系統らしく一部簾刃状の部分が有り明るく冴え、地鉄も綺麗です。
 
 研磨は錆身でしたので荒砥から始めました。地刃が研磨で明瞭に成るにつれて華やかな作風が現れて来ました。

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2019年12月30日

良いお年を。

 本年中は沢山の研磨御依頼、研磨作業を差せて頂き有難うございました。
 来年も引き続き御依頼受け賜る事が出来れば幸いです。
 良いお年をお迎え下さい。

   御刀研磨処楽屋 https://www.katanatogi.com/
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2019年10月02日

研磨した刀剣の紹介(正真)

 研磨差せて頂いた御刀の紹介を致します。
 正真の二字銘の太刀です。
 正真は千子村正の一族とも弟子とも言われる刀工です。

 この御刀は太刀銘が有り身幅広く切っ先が延びた豪壮な姿です。
 地鉄は稍肌立ち気味で太い地景入り地沸付き相州伝風に肌です。元の方に映りが立ちます。
 刃文は表はのたれ刃で、裏はのたれ刃が主調に刃縁が焼崩れる部分や互の目に成る部分が有ります。

 研磨前は地鉄の働きはあまり見えなかったのですが、研磨作業をして相州伝風の激しい作風が現れて来ました。

 

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研磨した刀剣の紹介(近景)

 研磨を差せて頂いた御刀の紹介を致します。
 備前長船の近景の太刀です。
 大擦り上げ無銘ですが反り高く重ね暑い太刀です。

 近景は長光の弟子とされる刀工で、嘉歴四年の国宝太刀が有ります。
 
 この御刀は地鉄細かく細かい地景入る備前の正統の精美な肌で、乱れ映りが明瞭に立ちます。
 刃文はのたれ刃が主体で直刃の部分や小互の目が入り匂い出来ですが先は沸付きます。

 研磨作業は地刃が見た目以上に硬さが有り内曇刃砥を効かせるのに手間が掛かりました。
 映りが良く見える様に気を付けて作業を致しました。


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研磨した刀剣の紹介(越後守包貞)

 研磨を差せて頂いた御刀の紹介を致します。
 二代越後守包貞の刀です。
 越後守包貞は三代有り、初代は大和鍛冶の末で大阪で鍛刀しました。
 二代は初代の弟子で二代を継ぎましたが、後に初代の実子に三代を譲り「坂倉権之進輝包」と銘を改めました。
 作風は助広と似た濤乱刃が多く有ります。
 
 この御刀は濤乱刃では無くて、互の目を連ねて足が入り大のたれ刃文に成ります。
 刃縁に沸深く明るく冴えています。
 地鉄は大阪新刀らしい極積んで地沸厚く付き細かい地景が入った精良な肌です。
 身幅が広くガッチリとして健全な作品です。

 研磨作業は棟の錆や小錆を除いて下地研ぎをして内曇砥を良く引きました。
 地刃は硬めですし、地鉄は細かく詰んでいるので内曇刃砥、地砥を良く引かないと働きが出て来ず時間を掛けました。
 地艶も肌が倒れ無い様更に引き出さす様に心掛けて刃取りも丁寧に行いました。




 
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2019年07月07日

2019年度現代刀職展授賞式 研磨した刀剣の紹介(古備前行秀)

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 7月5日、東京両国の刀剣博物館で行われた現代刀職展授賞式に参加して来ました。
 令和に成り初の現代刀職展に成ります。
 本年度は、鎬造りの部で特賞竹屋賞、平造りの部で優秀賞を頂きました。
 鎬造りの部は「太刀 古備前行秀」平造りの部は「短刀 義助」を出品させて頂きました。
 出品に御協力頂けた御刀の御持ち主様には感謝致します。
 
 短刀の義助は3月24日に画像を掲載致しました作品です。http://katanatogishi.seesaa.net/article/464790753.html

 本年は特賞と優秀賞を頂く事が出来て良かったです。更なる技術の向上をして上位の受賞を続けていけるようにしたいと思います。


 研磨差せて頂いた御刀の紹介を致します。
 古備前行秀の太刀です。無銘ですが生茎の健全な作品です。

 古備前は最初に備前に現れた刀工の集団で、友成、正恒など沢山の名工が居ます。

 行秀は在銘が数振り存在しており刃文がやや逆掛かり二重刃に成るのを特徴としています。
 この御刀は元と先幅があまり変わら無い豪壮な姿で反り高く鎬が高く平肉が付き、地鉄は細かく詰み精美で地景細かく入り地沸厚く付き映りが立ち、刃文は小沸出来で大変明るく冴え小互の目逆足が入り、刀身中程から断続的に二重刃に成り切先まで続き裏の切先は三重刃に成り古備前行秀の特徴が良く現れています。

研磨作業は古研ぎで地鉄がふさっていましたので細かい肌や働きが出る様に心掛けて、尚且つ映りも極力見える様に作業しました。

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