2022年05月26日

研磨した刀剣の紹介(備前盛光)

 研磨を差せて頂いた御刀の紹介を致します。
 備州長船盛光 応永廿三年八月日の銘の有る脇差です。
 寸延びの短刀で樋が三本と梵字の彫が有ります。三本の樋は大変珍しいです。
 地鉄は鍛え良く地景入り地沸付き棟よりに映り立ち、刃文は沸出来の互の目乱れで刃縁明るく冴えます。
 応永の作ですが相伝備前の様な作風で常の盛光とは少し相違する作柄です。
 樋は後彫で無く銘が樋を避けて切って有り生彫です。
 
 研磨前は映りはあまり見えませんでしたが研磨して映りも現れて来ました。

 研磨作業は三本連ねた樋を磨くのが大変手間が掛かり難しいものでした。

 
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2021年11月28日

研磨した刀剣の紹介(武蔵大掾忠広)

 研磨を差せて頂いた御刀の紹介を致します。肥前、武蔵大掾忠広の脇差です。
 武蔵大掾忠広は初代忠吉の晩年の銘で寛永三年の年紀が有ります。
 身幅広く切先延びてガッチリとした姿をしています。

 地鉄は良く詰んで細かく白い肌目を見せて地沸厚く付く所謂小糠肌に成り冴えが有ります。
 刃文は肥前の丁子で刃縁明るく所々玉状の飛び焼が有ります。

 研磨作業は全体に薄錆が有りましたので備水砥からの始めました。
 丁子は直刃より地鉄がやや硬めに感じます。

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研磨した刀剣の紹介(運寿是一)

 研磨を差せて頂いた御刀の紹介を致します。運寿是一の太刀です。
 運寿是一の作刀は割に多いと思いますが太刀は大変珍しく特別な注文品で有ったと思われます。
 嘉永六年の年紀が有り茎は雉腿形に成り、生刃が残り健全です。

 地鉄は新々刀に多い無地では無く小板目肌詰み地沸等の働きが有り精美です。
 刃文は小沸出来の華麗な丁子に成り刃縁明るく冴えます。
 古刀の二字国俊を思わせる作です。

 研磨は全体に薄錆、曇が有りましたので備水砥から始めました。
 制作時の下地研ぎなのか下地がとても優れて折り備水砥に返しましたが作業は順調に進みました。

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2021年10月03日

研磨した刀剣の紹介(青龍軒盛俊 槍)

 研磨を差せて頂いた御刀の紹介を致します。
 青龍軒盛俊の槍です。
 袋槍で茎に家紋の金象嵌が有り猪目の透かしが有り、銘と嘉永元年の年紀が切って有ります。

 青龍軒盛俊は周防国岩国の出で江戸で長運斎綱俊に学び後に岩国藩のお抱えに成っています。

 槍は末古刀ですと如何にも実用品と言う感じですが、この遣りは新々刀の作なので造りが丁寧で地鉄は良く詰み地沸付き綺麗で刃文は沸出来の直刃調に刃縁互の目、小乱れで良く冴えています。

 研磨は寸法が短いので返って難しい面が有りました。小さい作は地艶、刃取りも指を動かすのが難しいものです。

 

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2021年09月14日

研磨した刀剣の紹介(兼元 金象嵌銘)

 研磨を差せて頂いた御刀の紹介を致します。
 金象嵌銘の兼元の刀です。
 
 兼元は数代居ますが二代目は通称孫六と言い切れ味の良さで有名です。
 銘は多くは二字銘ですが赤坂住と切ったものも有ります。関住と切ったものは無い様ですが二字銘が関市で打ったものと言う説も有ります。

 この御刀は掟通りの尖り刃を焼き刃中砂流し掛かります。
 
 差し込み研ぎの御依頼で研磨をしました。
 差し込み研ぎは地鉄を黒く沈めて刃を浮き立たせる研磨方法ですが、どの刀でも有効では無く地鉄が詰んで刃が明るいもので無いと効果が出ません。
 研磨作業は地鉄を押さえて黒くする事に留意して、刃中を刃艶で丁寧に擦り白く成る様に作業を致しました。

 
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2021年08月26日

研磨した刀剣の紹介(尾州住道暁)

 研磨を差せて頂いた御刀の紹介を致します。
 尾州住道暁の短刀です。裏銘には木曽川の水で焼き入れした旨を切っています。

 道暁は尾張国犬山城下で鍛刀した刀鍛冶で子の道幸と共に犬山城主成瀬家のお抱え鍛冶だった様です。
 銘鑑には天保頃と有りますので新々刀期の刀鍛冶に成ります。

 この御刀は鍛えは柾目に成り柾目に沿って地沸良く付き地鉄少しネットリとした柔らかみが有り、刃文は直刃調で少し打ちのけ、二重刃掛かり刃縁は明るく冴えています。
 柾目は道暁、道幸父子の特徴の様です。
 新々刀期の作ですが、地鉄に古調が有り興味深いです。
 江戸の水心子正秀系統の影響を受けない地方には独自の行き方する刀鍛冶が居て道暁もその一人と思いました。

 研磨前は深い鑢目が刀身全体に有り、これを除去するのが大変で120番の金剛砥を使っても中々取れませんでした。
 しかし、それ程研ぎ減ったと言う感じには成らず良かったです。
 研磨途中までは柔らかい地鉄で無地風に成ってしまうかと思いましたが、内曇砥を掛けると柾目肌が現れ粘りが有る独特の地鉄の性質でした。

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2021年08月09日

研磨した刀剣の紹介(綾小路定利)

 この御刀は令和三年現代刀職展に出品差せて頂き優秀賞を受賞致しました。

 綾小路定利は京綾小路に住した刀工で昔は鎌倉中期ぐらいの刀匠と言われて居ましたが現在は鎌倉初期、三条派や五条派に続く刀匠と見られており反り高く切先が小さく成る点、地鉄等古風が有ります。
 この御刀は重要刀剣で綾小路定利に極めれて折り本阿弥琳雅の鞘書きも綾小路定利に成って折り典型的な作風を現しています。

 大擦り上げ無銘ですが反り高く切先やや小さく、元に腰樋と素剣の彫が有りますが彫は後彫の可能性が有ります。

 地鉄は板目肌やや流れ杢目交り地景入り地沸良く付き、綾小路定利の特徴で有るネットリとした肌に成り淡く映りが出ています。

 刃文は直刃調の小乱れで小沸付き金筋入り働きが大変豊富で刃縁が明るく冴え、一部打ちのけ掛かります。
 綾小路定利は刃文の一部が潤む事が多くそれが特徴に成っていますが、この御刀はその様な部分がほぼ有りません。

 研磨作業をして感じる事は内曇砥を引くと地刃の硬度差があまり無く刃も柔らかいのですが、刃文はピカッと光り大変明るく刃が柔らかいのに明るいと言うのは古刀の不思議さを感じます。
 地刃砥石が乗りやすく研磨し易い御刀でした。


 
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2021年08月03日

研磨した刀剣の紹介(兼門)

 研磨を差せて頂いた御刀の紹介を致します。
 兼門の短刀です。兼門の後二文字切って有りますが判読不明です。裏は慶長11年の年紀が有ります。
 兼門は同名何人も居ますが、銘振りや鑢目を見ると天正頃甲斐の国でも打つと言う兼門に似ていますが全く同じでも無く天正から慶長ですとやや作刀期間が長く成りますのでその次代なのかも知れません。

 小振りな短刀ですが働き多く地鉄はやや肌立ち心に地景入り地沸良く付き淡く映りが出て、ゆったりとしたノタレ刃を焼いて居ます。
 志津の短刀の作風を狙った作と思います。
 志津は無銘ですと大乱れの刃文が多いのですが、在銘ですと意外に焼が低い物が多く無銘と在銘とは随分差が有ります。無銘の相州伝を正宗と極めれない場合志津の極めにする様な感が有りますので実際の志津はそれ程派手な作風で無い気がします。

 研磨作業は短い物は意外に研磨し難い部分も有り、焼も低いので刃取りは難しく成ります。
 地鉄の働き等良く見える様に研磨しました。

 
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2021年07月26日

研磨した刀剣の紹介(正吉 令和三年如月 新作刀)

 研磨を差せて頂いた御刀の紹介を致します。
 宮下正吉刀匠の令和三年の作で現代刀職展作刀の部に出品され努力賞一席を受賞されました。
 宮下刀匠は宮入法廣師の一門で茨木県で作刀されている若手刀匠です。
 研磨作業を差せて頂いた私に取っても受賞はとても嬉しい事です。

 一文字を狙った太刀で丁子が華やかに乱れています。
 現代刀で備前伝を狙う場合地鉄は均一で無地風に成り勝ちですが、この御刀は肌目が綺麗に出て地沸付き地鉄の良さが有ります。

 新作刀の研磨は、刃を付ける、形を整えると言う部分の荒砥ぎから行うので古い刀とは、また違う大変さと根気、体力が必要です。


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2021年07月18日

研磨した刀剣の紹介(平戸左盛広)

 令和三年度、現代刀職展研磨平造りの部に於いて努力賞を受賞致しました。

 平戸左は左文字の弟子の盛広が平戸に移住して起こした一派です。

 繁栄した一派と思われますが九州は戦乱の多かった場所からか残っている物は少ない様です。

 帽子の焼が鋭く尖り長く変える部分など左文字と共通した作風が現れています。


 この御刀は無銘で平戸左盛広に極められており、地鉄は地景入り地沸良く付き刃文沸出来で匂い口深く金筋入り相州伝の作風を強く現しています。

 帽子は乱れ込み先尖り長く返ります。

 研磨作業は地鉄のこなし方が難しく中々難儀致しましたが御刀の特徴を引き出せたかと思います。
 

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現代刀職展開催中

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 東京両国の刀剣博物館で現代刀職展が開催中です。
 私の研磨出品作、平戸左盛広は前期日程、綾小路定利は後期日程の展示に成ります。
 ぜひご覧ください。
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2021年07月06日

御依頼に付いて。

 現在の御依頼の状況ですが少し空きが出来て来ましたので、以前より納期が短く御納め出来ると思います。
 錆身や白鞘工作が有る場合は多少長く成ります。
 詳しくはホームページから御依頼を御覧頂くか、メールを送信下さい。
 宜しく御願いを致します。

  御刀研磨処楽屋 ホームページ
  メール onkatana@d6.dion.ne.jp
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2021年07月01日

研磨した刀剣の紹介(逸見義隆)

 研磨を差せて頂いた御刀の紹介を致します。
 逸見義隆の寸延び短刀です。
 銘は表には、備州住竹貫斎義隆と刻印、裏は明治三年二月吉日と切っています。

 逸見義隆は新々刀の掉尾を飾る刀工で若くして明治正宗とも称されました。
 備州岡山に生まれ、後に京都に出て天竜子正隆に学び帰郷して作刀しましたが、明治四年に廃刀令が出た後は作刀はあまり行わなかった様で名声の割には作刀は少なく貴重です。
 また彫技にも優れて刀身彫も良く行っています。
 
 この御刀は相州伝の作風で地鉄は総体良く詰み地景入り、地沸が厚く付き表は殆ど焼に近い強い沸映りに成り、裏は湯走り状に飛び焼掛かり、全体としては皆焼の分類に成ると思います。
 刃文は沸出来で砂流し金筋入り働き多く帽子が長く返ります。
 明治正宗と称えれれるのに相応しい覇気有る作品です。

 研磨作業は表側は映り状の焼が刃文近くまで迫っているので刃取りには工夫が必要でした。

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2021年06月15日

現代刀職展の結果通知来たる。

 本年の現代刀職展の結果通知が着ました。
 鎬造りの部が優秀賞、平造りの部が努力賞でした。
 今後も精進して参りますので御支援宜しく御願いを致します。


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2021年06月13日

研磨した刀剣の紹介(越後守国儔)

 研磨を差せて頂いた御刀の紹介を致します。
 越後守国儔(くにとも)の脇差です。

 越後守国儔は堀川国広の甥になり、国広晩年の弟子の国助、国貞を指導したと言われています。
 国広門下では一番作風が近い刀工です。

 この御刀も国広一門の特徴の地鉄は少し肌立ち地沸付くザングリ肌に成ります。
 刃文は沸出来で一部鎬に近くまで焼を上げて華やかに乱れます。
 姿は身幅広く切先が延び豪壮です。

 研磨は錆が全体に有りましたので除去して作業を進めました。
 地刃硬めなので内曇は引くのに体力が必要でした。

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